グレー・シュル・ロワン滞在記
Bonjour!
長くパリだよりを更新せずにすみませんでした。前回の更新は,まだ夏の名残りがある9月でしたが今はすっかり秋。長く厳しい冬は目の前です。パリの街中には早くもクリスマスの雰囲気を感じられます。
以前パリだよりで書いたグレー・シュル・ロワンに行ってきました。10月17日〜23日の1週間滞在,グレーの風景を描いてきました。
写真下:秋風吹く中,イーゼルを立てて描く
グレーは,鹿児島出身の画家・黒田清輝が滞在して多くの油絵を描いた小さな町です。黒田が滞在した19世紀,彼以外にもアメリカ,イギリス,スウェーデンなど各国の画家がグレーの美しい風景を描くために滞在しました。当時とほとんど変わらない風景を描けるのはとても嬉しく幸せなことです。
写真下:秋の静寂の中で筆を動かす
写真下:透明水彩こそ,秋のグレーを最も表現しやすい画材
写真下:多くの画家が描いた古い石橋を背景に,白鳥と
滞在した1週間はあまり天候がすぐれませんでしたが,それでも大雨にはならず屋外で制作することができました。風に吹かれて落ちていく木の葉や重い曇り空は憂鬱な気分にさせましたが,これこそフランスらしさなのかなとも思いました。
滞在中は町にある「オテル・シュヴィヨン」というスウェーデンに本部のある財団の宿泊施設にお世話になりました。
写真下:オテル・シュヴィヨンの中庭
写真下:オテル・シュヴィヨンのベルナデットさん(右)とシェスティーナさん
このお二人は滞在に不便がないよう,いろいろと気遣ってくださいました。
写真下:町で唯一のレストランのオーナー・エールネストさんと
昼食は毎日彼のレストランで食べました。彼と彼の奥様が作る料理は最高でした。
紹介した以外にも多くの方にお世話になりました。今回の素晴らしい経験や出会いも元をたどれば黒田清輝が導いてくれたのではないでしょうか。
最後に。滞在中,地元の情報誌の記者から取材を受けました。遠い日本から黒田清輝の縁で訪ねてきた私を紹介してくださいました。
写真下:記者の方と
取材の中でも話したのですが,グレー・シュル・ロワンと鹿児島の縁がいつまでも続いてほしいと思います。甲南の生徒の皆さんにもいつかこの町を訪ねて,自然の美しさと地元の方の優しい人柄に触れてほしいです。
À bientôt!(また近いうちに!)