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2017年1月10日 (火)

3学期始業式

冬休みが終わり、今日から3学期です。寒い中、生徒達は元気に登校しました。

写真下:アリーナからの桜島。朝は霞んでいました。

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SHR、長めの清掃があった後、アリーナで始業式を行いました。

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原之園校長が生徒に向けて次のような話をしました(要旨)。


 〇「駿馬」は何を見ているか?  

以前、しばらく住んでいた種子島の方から年賀状をいただいた。当地を懐かしく思い出したので、「種子島」のことを紹介したい。

鹿児島は南北600㎞あり、豊かな自然、様々な歴史を持っている。特色の一つに多くの有人離島、それぞれの特有の文化がある。種子島はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙機の打ち上げでも有名。九州最高峰の宮之浦岳を擁する険峻な屋久島と対照的になだらかでほぼ平らである。風を遮るものが無いので海からの強風が勢いよく吹き抜ける。

広田遺跡、平家落人の伝説など歴史的なものも多い。意外と、平安時代などの昔の言葉も残っているという。例えば「ばきー(馬貴)」は方言で妻のこと。平安時代、馬は貴重なものであり、妻はその馬より尊いという尊敬語とか。また実際に、かつて藩主島津氏から委託されて、貴重な馬を飼育していたという。

初めて、中種子町を訪問したとき、道路沿いの小学校に掲げてある言葉にふと心を奪われた。その日は、寒風が肌に痛いほどの日であったが、道路沿いの壁面に強く大きく書かれた文字、「よか馬は風に向かって立つ」。良馬は風が吹き付けてくる向こうに何を見ていたのだろうか?

3年生の皆さんは、あと数日でセンター試験だ。皆さんに吹き付ける風はどんな風か。高浜虚子の俳句に「春風や闘志いだきて丘に立つ」があるが、虚子が感じた風はどのようなものであっただろうか。風の吹いてくる向こうに何を見たのだろうか?

皆さんは、どんな風であろうとも、俯いてはいけない。逃げてはいけない。しっかりと受け止めなければならない。受験できることを感謝しながらしっかり全身で感じてほしい。

 「風を感じる」とは抽象的な意味合いだけでは無く、受験当日、風を感じることが出来れば、冷静であるということであり、また、感じられれば心は落ち着く。

悩む者に光を与えた、作家のトルーマン・カポーティ(「ティファニーで朝食を」「冷血」「遠い声 遠い部屋」等の著者)の有名な言葉にも「何でも無いことを考えろ、風のことだけを考えろ」というものがある。

風には土地土地の色々な風味がある。二次試験は鹿児島のみならず、全国各地で受験することになろう。それぞれの土地の風を感じてほしい。あたふたせず、大学受験という、皆さんの人生に吹く風をじっくりと味わってほしい。 

今年は酉年だが、「酉」には、鶏の他に、「酒つぼ」「実る、熟成する」の意味がある。今が甲南3年間の熟成の時だ。各自それぞれの「実り」を出してくれることを期待したい。  最後まで、怖れず、落ち着いて堂々と前進することを期待する。

そして、風の向こうに何があるか?自分で見つけてほしい。

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